FC2ブログ

めなみ 京都三条 料理屋


11P7150279.jpg

昔々、「柔道一直線」という漫画があった。
梶原一騎原作の柔道根性ものである。
1967年頃か。
その少し前に虫プロダクションが発行していたCOMという漫画雑誌に、「フーテン」という社会派の漫画が載っていた。
後で気づいたのだが、作画者が同じ永島慎二と言う人で、作風が全然違うのに驚いた。
ただ、梶原一騎とは感性が違ったのか、「柔道一直線」の作画はすぐ他の人に変わった。
始めから引き受けなければ良かったのにと思ったのだが。

「柔道一直線」の主人公、桜木健一扮する一条直也のライバルに結城真吾というのがいた。
この人凄くて、なんとドラマの中で身軽さをアピールしたかったのか、ピアノの鍵盤に飛び乗って足の指でピアノを弾いちゃうという妙技を披露したのであった。
まあ、今見たらお笑いなのだが、その役を演じたのが、当時クールな二枚目だった近藤正臣。

前置きが物凄く長くなったが、この近藤正臣の実家が、この「めなみ」なのだ。
本人も若いころ、日本料理の修行をしていたそうで、それに嫌気がさして俳優になったとか。
人生ってわからない。

祇園祭の宵山の日、フラッと一杯飲りに入った。
今年の祇園祭は例年に比べて涼しい。
しかし、潮風爽やかな横浜からくれば蒸し暑い。
夜もものすごい人出で、さらに蒸し暑さに拍車をかけていたので、見物など早々に「めなみ」に。




22P7150266.jpg

まずは汗びっしょりの体をクールダウン、ということでビールと、おばんざいの盛り合わせ。
左上から時計回りに、チキンロール、豆腐(何豆腐か分からないが)、味玉、オクラ、真ん中が出汁巻き卵(祇園祭なので山車巻きか)。
いいねえ。
何食べても美味しい。





33P7150267生湯葉煮

湯葉。
こんなもん一口なんだが、そういうお下品な食べ方をしてはいけない。
僕は場末の江戸っ子なんだが、どちらかと言うと関東のメリハリの効いた味付けより、京都のポワーっとしたそこはかとないが深みのある味付けが好みだ。
単に年取って味のはっきりしたものや塩辛いものが苦手になっただけかもしれない。
血圧高いし。





44P7150269よこわ

ジャーン。
どこが、そかはかとない味付けか。
関西ではヨコワと呼ばれる本マグロの幼魚であるメジマグロのトロ。
大好物である。
こんな素晴らしいメジを食べたのは久しぶり。
本マグロほど脂っこくないので、食後感は割とさっぱりなのだ。
東京湾でも相模湾でも、夏から秋にかけて獲れて珍重される。
佐島や長井の魚屋で、これを見つけたら必ず一本買って来る。
僕が子供の頃は、刺身と言えば、メジかマカジキかヒラメだった。





55P7150270.jpg

では、冷酒でも。





66P7150272鱧天麩羅

旬の鱧の天婦羅。
落としと寿しとお椀は、すでに今日食べていたので。
サワッとした噛み心地。
サクッではないのだ。
鱧のそこはかとない旨味が。
天婦羅自体としては普通。






77P7150273.jpg

これ美味い。
沢庵を甘い出汁醤油で漬けたようなもの。
これだけで酒を2本飲んでしまった。





88P7150274.jpg

おから。
ちょっと水っぽい。




99P7150275.jpg

鮎出汁ソーメン。
変わっているし旬のものなのでと思って頼んだけど、ちょっと生臭かった。
これは残念。




1010P7150276.jpg

〆の鮎飯。
これは美味しかった。
お腹いっぱい。

めなみは、普通に使い勝手が良くて禁煙でそれなり美味しいので、たまに来る。
一番のお気に入りは、刺身類ときずし。
冬に来るかな。




1111P7150143.jpg

宵山の前に行った島原の「角屋(すみや)」。
建物は国の重要文化財に指定されている揚屋(今でいえば料亭か)。
新選組のご贔屓の店だった。
酔った組員がふざけて付けた刀傷があちこちにある。






1212P7150154.jpg

文久3年(1863年)9月、この臥龍の松を望む間での新選組の宴会で、初代局長 芹沢鴨は酔って酩酊した。
そして、戻った壬生の屯所である八木邸で惨殺された。
犯人は、土方歳三以下、新選組の隊士とされている。
芹沢鴨殺害の理由は、粗暴な行動が顕著だったためとか、攘夷派と通じていたからとか諸説がある。


1313P7150161.jpg





1414PC020403.jpg

絶品のきずし。
スポンサーサイト



酒亭 ばんから  京都先斗町 居酒屋

11P7160498.jpg

昔々、昭和39年頃、正に第1回東京オリンピックの年に「お座敷小唄」というとてつもなく変な歌が流行った。
知っている人は知っているという、松尾和子&和田弘とマヒナスターズというのが唄っていた。
その頃、 松尾和子なんてスゲー婆ァだと思っていたが、当時まだ30歳前だったという。

今自分もかなり年齢を追い越して、結構綺麗だったじゃんと思えるようにもなり、喜ばしい限りではあるが、年は取りたくないもんである。
ちなみに真昼間、台湾の街中の裏路地にあるカラオケ屋から、爺さん婆さんが台湾語で歌うこの歌が流れているのを聞いたことがある。
「再会」とかの良い曲も歌ってたよな。
で、その「お座敷小唄」の歌詞だが、
  富士の高嶺に 降る雪も
  京都先斗町に 降る雪も
  雪に変わりは ないじゃなし
  溶けて流れりゃ 皆同じ
というどうしようもなくシュールで、特に、「ないじゃなし」なんていうと有るのか無いのかサッパリ分からなく、ますます混迷が深くなるものだった。
で、歌詞にある先斗町は「せんとちょう」でなく「ぽんとちょう」と読む。
狸のような腹の出た客と厚化粧の芸鼓が化かしあうので、「ぽんたちょう」とも言う。
嘘である。
先斗町という花街を舞台にした客と芸妓とのお戯れの歌詞なのであるが、その先斗町。




22P7160500.jpg

先斗町は、新旧の飲み屋がひしめき、毎夜日本人や外人さんで賑わいを見せる一大観光地となっている。
で、そこの路地を入ったところに、素晴らしい居酒屋がある。
酒亭ばんから。




33P7160502.jpg

どれ、ちょいと粋な暖簾をくぐろうか。




44P7160503.jpg

まずは突き出し。
魚の煮凝り、豆腐、魚のミンチの焼き物・要はハンバーグだな。
味付けが実にいい。
関東の多くで味わうメリハリの効いた塩辛さや旨味ではなく、そこはかとない。





55P7160504.jpg

最初の酒は、佐賀県は天吹酒造の「天吹 純米吟醸 雄町」。
実に美しい酒だなあ。
香りといいキレといい、本当に美味い酒だ。
昔、よく浅草の「酒の大桝・本店」で買って帰って大事に飲んだもんだ。
ちなみに、九州っていうと芋焼酎と言う人が多いが、上(北)の方は良い日本酒を造っているところが多い。
中ほどは麦焼酎。
下に行って芋焼酎となる。
芋焼酎は、薩摩の田舎者が飲む酒である。
あんなもんの中にレアものとかいって、魔王だの伊佐美だのを有難がって高い金だして飲むヤツの気が知れない。
ということを、ガキの頃からブレずにしつこく言い続けて、僕は何度、多くの薩摩出身の田舎者と喧嘩したか分からない。
会津贔屓の僕としては、薩摩と長州は大嫌いなのである。
薩摩憎けりゃ焼酎まで憎い。
だいたい西郷のように、二度も自殺しようとして助かり、挙句、戦争を引き起こして自分の死場を求めるかのように将来ある若者をごまんと犬死させた、また、流刑にされたとき親切にしてくれた奄美大島の人たちを蔑んだ自分勝手な馬鹿を崇拝している、ここの出身者とは肌が合わない。
芋焼酎は、酒なのでそんなには嫌いではないが。
薩摩御出身の皆様、戯言と思って無視してくだされ。




66P7160505.jpg

鱧の落とし。
新鮮さが命のこの魚、実にシャキシャキとしてほっこりとして、コクがあって美味い。
関東ではまともな鱧を食べたことがないので、京都に来ると三度三度毎食に食べているな。




77P7160514.jpg

鯛の昆布〆め。
美味い魚を昆布の味で〆れば、更に美味しくなるに決まっている。
文句なしの美味さです。
僕は関東出身で、小さい頃から鯛より鮃を食べてきて、未だに鮃の独特の香りが好きだ。
鯛を食べるようになったのは、就職をしてから。
父親も鯛は焼く以外には使わなかったな。




88P7160510.jpg

京の地酒を。
「神蔵 純米 無濾過生原酒」。
京都は、左京区吉田河原町の老舗造り酒屋「松井酒造株式会社」の酒である。
端麗で香良くキレのある酒だ。
いけるねえ。




99P7160509.jpg

万願寺。
京野菜のししとうがらしである。
独特の甘みがホッとする美味しさなんだよね。
野菜嫌いの僕でも、酒の肴に選んでしまうのである。




1010P7160506.jpg

京小蕪のあんかけ。
ほっこりとする味。
出汁も上品で美味い。





1111P7160519.jpg

では、出羽は鶴岡の冨士酒造株式会社が贈る「栄光冨士 純米吟醸 朝顔ラベル 限定品」。
香りが高く酸が少ないという特徴を持つ、協会10号酵母を使った酒で、非常に上品でフルーティ、バランスの良い美味い酒だ。
この店、何飲んでも美味い。
素晴らしい。





1212P7160518.jpg

これ鰈である。
京都では「エテカレイ」、和名は「ソウハチガレイ」。
カレイって独特の臭いがある。
それを新鮮なうちに手早く捌き干すことによって、風味の良い匂いに変えるのだ。
京丹後の名産でもある。
肉が盛り上がっていて品の良い脂があって、良い香りのする実に美味い干物だ。




1313P7160507.jpg

へへへ。
せっかくだから、銀鱈の西京漬け。
大型の深海魚で、今や高級魚である。
鱈というよりもホッケに近い種で、脂がある。
活け専門で東京白金の御屋敷町で魚の引き売りをやっていた死んだ親父は、横浜で魚屋の店を出した当初、この魚のことはよく知らなかったらしく、お客さんに言われて仕入れてくるようになった。
店に並べてからも、こんな脂ぎった魚と言って、自分では絶対に食べなかった。
その割には、糞のような養殖のハマチはたまに食べていたが。
僕も、親父の影響でこの魚は食べなかったが、大人になってから西京漬けや煮付けを食べてみたりして、結構この魚を気に入ってた。
今でも、銀鱈の西京漬けは大好物。
大根卸しを添えてあるのは頷ける。



1414P7160508.jpg

京都の夏はこれなしには語れない。
琵琶湖の稚鮎の天婦羅。
美味いねえ。
上品な脂があるねえ。
香ばしい香りがいいねえ。
カラッと揚がっており、美味いものを上手く調理するとこんなに美味くなるという手本のような天婦羅だ。
酒が進むねえ。







15154P7160520.jpg

〆はちりめん山椒のご飯。
幸せとはこういうもんだねえ。

本当にこの店、一切の手抜きがなく、肴は美味しいし酒も美味しい。
料亭に勝るとも劣らない素晴らしい店だ。
京都の昼は「菊乃井」で、夜はここしかないと思う。
フフフ、本当はまだ隠し玉はあるが。

始めは愛想のなかった店主だが、だんだん打ち解けてきて、子供さんの話までされて盛り上がった。
京都で食べ物がおいしいのは冬ですよ、ぜひその時に又いらしてください
との言葉に、
絶対に又来ますよ
と店を出た。

いづう 祇園 鯖姿寿司・鱧姿寿司

11P7170079.jpg

いづう
変な名前だが、そういう店の名前なのである。
1781年創業の老舗で、初代が「いづみや卯兵衛」というそうな。
略したか。
伊豆の宇佐美のことではない。
創業の年がどんな年でどんなことがあったのかさっぱり判らないが、この年に生きていた人は今この世には誰もいないほど、伝説的な店でもある。
京都祇園にある、言わずと知れた鯖姿寿司の名店である。




22P7170062.jpg

祇園祭の最中、ちょいと足を延ばしてこの店に来た。
シックな店内である。
酒を飲みながら、鯖姿寿司と鱧姿寿司を待つ。
元々は、祇園のお座敷に寿司を運んでいたのが、1970年頃に店でも食べられるようにしたらしい。




32P7170068 2430円

で、来ましたよ。
鯖姿寿司。
昆布が巻いてあるが、食べるときには、必ず「あ~れ~。ご無体な」「いいではないか~」と言いながら外すのがしきたりである。
嘘である。
この昆布が鯖もご飯も更に美味しくする。
北海道産の真昆布である。
6ケで2,430円。
値のこと言うなよ、無粋な。




43P7170072.jpg

では、いただきます。
見よ、この鯖の輝き。
この時期、脂いっぱいというわけではないが、魚がものすごく品も活きも良いものを使っている。
食べる。
こりゃ、美味いや。
元々、鯖自体は旨味の宝庫のような魚だし、それに昆布の旨味と香り。
さらに、滋賀県産の江洲米は固くなく、ほっこりとした感じである。
いいねえ。
お値打ちです。




54P7170070 7452円

次は鱧。
夏季限定で、やはり京の夏、祇園祭りと言えば旬の鱧。
「鱧祭」とも呼ばれているくらいだ。
これは産卵前で、脂の乗りがいいという理由もあるが、昔は魚の保冷技術が発達していなくて、夏に日本海から山を越え、京都まで活きの良い魚を運ぶのは相当困難だったらしい。
で、夏に鮮度を保てる魚は?となった時に、蛇のごとく生命力の強い活きの鱧が重宝されたらしい。
受け売りである。
当然、鱧は秋から冬にかけても脂が乗ってくるが、粋な京都のちゃんとしたお店で鱧は出てこない。
夏の魚なのである。

ただ、魚と言っても、脂があればいいってもんじゃない。
河豚に脂があるかー、馬鹿者め。
初鰹の爽やかな旨味に脂があるかー、馬鹿者め。
魚は脂が乗れば旬、脂が乗ってて美味しいですねー、なんて、魚=脂がすべてじゃない。
クソ食べログ投稿者の、ああいうコメント読むとムカつくんだよね。
たまに参考にするけど。
ちなみに、トロは大好物だが。
成分的には、僕の腹と大差はない。





65P7170074.jpg

さて、お味は。
うーん、タレで焼き上げた鱧は美味いねー。
タレは辛からず甘からずで、淡白な鱧の旨味を上手に引き出している。
穴子も鰻も大好物だけど、個性の強いクセのあるこの子たちに比べると、遠慮深い奥ゆかしさを感じさせる味だ。
そしてほっこりとしている。
また、鱧は骨が多いが、骨切りをすれば歯や舌に当たらない。
3.3cmの間に24回もの包丁を入れるという。
恐るべし、京料理の技。

ちなみに、鱧姿寿司は、6ケで、何と7,452円である。
一つ、1.200円を超える。
これを高いとみるか安いとみるかはあなた次第。
年に一ぺんは食っても罰は当たらないし、食べたいな。
値のこと言うなよ、無粋な。
でも、高いな。





76P7170077.jpg

トイレに向かう道中で。
鉢にオシッコしてはいけない。



87P7170034.jpg

冬なので、暑い夏の話題。
また、来年も行きたい。
鱧食いたい。

菊乃井本店 京都東山 懐石料理

00P7180391_20171209222329a63.jpg

京都と言えば、人それぞれ思い浮かべるものは違うだろう。
寺社仏閣、紅葉、舞妓はん、鴨川、修学旅行、薩長新選組、中国人(どこにでもいるか)、夏暑くて冬寒い(家もだ)、心霊スポット多し、などなど出るわ出るわ。
僕なんぞは、食いしん坊なので、懐石、鱧、鮎、ちりめんじゃこ、おばんざい、漬物、京野菜などの食い物しか浮かばない。
ということで、八坂神社の脇を抜けて、料亭「菊乃井」に向かった。




11P7180518.jpg

「菊乃井」と言えば、大正元年創業の老舗料亭だ。
料亭と言えば、敷居が高いような気もするが、ちょっとした人生の節目の記念日などに、ちょいとお洒落をして、家族や彼女と会食なんていいもんだ。
京都には、たまにはいいかと、気軽に来られる美味しい料亭が多く羨ましい。
ここは、ミシュランなんちゃら星とかのお店で、タイヤ屋さんが評価しているくらいなんで大したことはないと思うが、そんなことはなく、昼なら最低ランクの一万円でも素晴らしい懐石コースが食べられるのだ。
では、さっそく堂々とした玄関から、気後れすることなく堂々と入る。
仲居さんの「おこしやすぅ、ようこそぉ」という柔らかい京都弁がたまらんなー。
ちなみに、「おいでやす」は一見の客に対して言うもので、僕のようなお馴染みさんには「おこしやす」なのである。
というか、予約客だからだ。それも3か月も前にだ。




22P7180515.jpg
仲居さんの案内で、こういった感じの、庭の見える個室が続く廊下を案内されて進む。




33P7180511.jpg

通された部屋はこんな感じ。
庭がきれいだ。
この部屋だけでも、十分満足だ。
さて、帰るか、って帰ってはいけない。
まだ、飯食ってない。酒飲んでない。




44P7180398.jpg

まずは、ようこそ、とお茶が出る。
ちょっと、一息だ。
いきなり、「とりあえず、ビール!」なんてセッカチなことを言ってはいけない。
ここで、仲居さんに心付けを渡す。
心付けをしたからといってサービスが変わるわけじゃないし、サービス料は別に取られるし、いらないんじゃないのってな無粋はなし。お互い気持ちよければいいじゃないっすか。





55P7180406.jpg

さて、時は7月、本日のお献立。
高々五万円のコースである。(税・サービス料別)
嘘である。
こんだけ出て、一万円かー。
こりゃいい。
しかも、今回の目的である、鱧、鮎、そして鯛にぐじ(甘鯛)。
やったね。





66P7180409.jpg

おーっ、八寸である。
普段僕らが普通に食べている八寸は、季節感のある食材が普通の皿に盛ってあるものだが、これは由緒正しい方の八寸。
一辺が八寸(約24㎝)の杉の木で作られたお盆に、酒のつまみとなる山海の幸が盛りつけられている。
嬉しいねえ。
そして、中には金杯に注がれたお酒と、木の盆に盛られた料理が。
美しい。




77P7180411.jpg

上から下がって左側へ。
利休麩と青瓜の雷干しの胡麻味噌和え。
利休麩とは、生麩を醤油で煮てから揚げたもの。
これで、味に一本芯が通る。
雷干しは、DNAみたいにクルンクルンと切った瓜を塩漬けして干したもの。
一つ一つに味のついた素材が奏でるハーモニーである。
手がかかっている。
鱧寿司。
大好物。
タレは案外しっかりしているが、肉厚でコクのある鱧は、これに負けていない。
とこぶし。
お見事。
とこぶしファンの僕も唸る。
甘くなく辛くもなく、なんていいお味。
ぐじ水玉胡瓜。
水玉胡瓜とは、芯を残して桂剥きした胡瓜をねじり広げたもの。
そこに蒸したぐじをロールした。
包丁技一つをとっても、嬉しくなる。
サフラン生姜は彩。
川海老は、甘く煮たもの。
でも、甘くないという手加減。



88P7180417.jpg

では、と言うことで、お酒を。
進むなあ。
酒は、伏見の澤屋まつもと。
すっきりはしているが、味わいの深いお酒だ。
食中酒としてはうってつけで、決してつまみの邪魔はしない。




99P7180418.jpg

この松葉は何を意味するのか。
そこの君、変なことを想像してはいけない。
お酒が垂れても、お猪口の底が浸からないように敷いてあるのである。
こういう配慮はさすが。




1010P7180425.jpg

向付。
膳の向こう側につける料理なので向付というが、二番目に出す料理のことでもある。
刺身を用いることが多い。
で、明石鯛と梅肉和えでと鱧の落とし。
鯛はこの時期脂が乗り、鱧はコクがあって甘い。
美味しいね。
良いものはいいし、旬のものはさらにいい。





1111P7180427.jpg

僕の造る刺身とは雲泥の差で、美味しいだけではなく、美しい。
日本料理の奥深さだねえ。



1212P7180436.jpg

緑色の饅頭に隠元が乗っている餡掛け。
なんじゃこれは。




1313P7180438.jpg

冬瓜饅頭で餡子は海老と真薯。
葛餡に木の芽を散らした逸品だ。
餡の出汁はとにかく素晴らしい。
丁寧な仕事を感じさせる澄んだ味の鰹と昆布出汁が効いて、絶妙の味わいだ。




1414P7180442.jpg

おっ、こりゃなんじゃ。





1515P7180449.jpg

お口直しのトウモロコシのシャーベット。
トウモロコシの風味と香りの、甘さを抑えたシャーベット。
驚きの組み合わせだ。
いやー、参った。
こりゃ美味しい。





1616P7180450.jpg

鮎である。
僕の大好物。
塩焼きを蓼酢でいただく。






1717P7180451.jpg

蓼食う虫も好き好き、ではなく、こりゃ好きにならずにはいられない。
プレスリーもびっくり。
琵琶湖産天然の小鮎である。
確かに、小さいくせに顔が精悍だ。
これ。子供の鮎ではない。
琵琶湖の鮎は、成魚でも10センチを超えることはない。
で、小鮎。子鮎ではない。
琵琶湖にだけ生息する鮎とのことである。
プランクトンだけを食べるという餌に因るところが大きいらしく、これを他の河川に放流したり養殖されたりすると大きく成長する。
しかし、身の締まりがある一方で、脂の乗りは素晴らしく、本当に美味い。
香ばしい脂でホッペが落ちるほどである。
浅学にして琵琶湖の天然小鮎は初めて食べたが、絶品だ。




1818P7180460.jpg

海胆豆腐。
和布を使った餡である。





1919P7180465.jpg

上に乗ったジュレも爽やか。
幾重にも違った味の波が寄せては返すような感触だ。
うーん、手が込んでるな。





2020P7180469.jpg

ちょっと一休み。
庭の様子。
こんな庭を眺めながら、美味いもんを食べて美味い酒を堪能する。
いいねえ。





2121P7180477.jpg

おっ、スィーツか。
しかし、よく見ると、白い餡の上に乗っているのは、和辛子ではないか。







2222P7180479.jpg

中身は豚の角煮。
臭みが全くない。
豚肉を、箸でほぐれるまで柔らかく味わい深く煮込んである。
餡はジャガイモ。
マッシュポテト味わい。
青ずいきが添えてある。
これも、ドイツとかオーストリアで食べるような素材を、見事に和に昇華した逸品だ。




2323P7180482.jpg

では、〆のごはん。
ご飯とお椀と香物である。
香物は胡瓜と茄子。





2424P7180486.jpg

鱧の炊き込みご飯に木の芽を添えたもの。
鱧のコクと木の芽のさっぱり感、ご飯の美味しさ、素晴らしいハーモニーを奏でる。
ガツガツ食えるが、お替りは我慢した。





2425P7180488.jpg

このお椀は、新牛蒡のすり流し。
実は僕は品と育ちが良いので、土臭い牛蒡は好きではない。
また、牛蒡を食べるとどうもただでさえ弱い腸がグルグルして嫌なのだ。
しかし。
これって、牛蒡などに火を通し、ミキサーで撹拌したものに、出汁を加えて鍋にかけたものだと思うが、あっさりしていて、まったく土臭くなく良い風味。
いやー美味い。
何杯でも行けるね。





2526P7180499.jpg

水物。
葛切りである。
これまた黒蜜のシャーベットが爽やかな涼味を演出してくれて美味。
美味しい。



2627P7180502.jpg

本当の締めにお抹茶。
抹茶の水羊羹と白いのは蓮根か?
実に面白い組み合わせの食感。
始め枝豆かと思ったんだが、このミミックの素晴らしさ。
眼でも楽しめるのを実感しました。
恐るべし、日本料理。






2728P7180470.jpg

とにかく、いつも自分が食べているものと一段も二段も違う食べ物だった。
本当に美味しいものをいただいた後の満足感。
食べて見て楽しんで一万円という、この金額なら、年に何度も来たいな。
と思ったが、税・サービス料を入れて、澤屋まつもとを次々とお替りすると二万円近くにはなる。
しかし、料理・部屋・庭・雰囲気、すべて合わせて二万円以上の価値は間違いなくある。
誇るべし、日本料理。
本当に素晴らしい。
プロフィール

chromodoris

Author:chromodoris
ダイビングと海遊び、街歩きとグルメ、自然観察と庭いじり、魚釣りと素人料理、そして映画と音楽の日々。プレ前期高齢者が日々に翻弄されながら、人生の仕舞に向けての彷徨いを綴ります。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
最新コメント
最新トラックバック